• 検索結果がありません。

【決算レポート】海運大手各社の163 期決算の注目点 ニュースリリース | 日本格付研究所 JCR 16d0106

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2018

シェア "【決算レポート】海運大手各社の163 期決算の注目点 ニュースリリース | 日本格付研究所 JCR 16d0106"

Copied!
3
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

1/ 3 http://www.jcr.co.jp

16- D- 0106 201 6 年 5 月 1 6 日

海運大手各社の 16/ 3 期決算の

注目点

海運大手各社(日本郵船、商船三井、川崎汽船の3社)の 16/ 3 期決算および 17/ 3 期業績予想を踏まえ、 株式会社日本格付研究所(J CR)の現況に関する認識と格付上の注目点を整理した。

1. 業界動向

海運大手各社の業績は再び悪化している。円安や燃料油価格低下が利益を押し上げているものの、コンテ ナ船やドライバルク船の運賃市況低下によるマイナスの影響がプラスの効果を上回っている。これらの船種 では需要の伸びが鈍化する一方で新造船の供給圧力が強く、船腹需給は緩い。運賃市況の本格的な回復には 時間を要する見通しであり、当面厳しい事業環境が続くと考えられる。

コンテナ船は、16/ 3期に運賃市況が大きく下落した。欧州航路では、荷動きが弱含む中で 1万 TEU を超 える超大型船の就航が続き、船腹供給量が大幅に増加した。北米航路では、引き続き荷動きが増加したもの の、欧州航路の超大型船に押し出される形で大型船や中型船が転配され、船腹需給が緩んだ。両航路では 4 大アライアンスへの再編が進み、船腹調整の実効性向上が期待されたが、アライアンスに参加していないコ ンテナ船社も多く、運賃市況低下を防ぐには至っていない。

ドライバルク船は、16/ 3期も運賃市況の低迷が続き、16年 2月にはバルチック海運指数が過去最低を更 新した。ケープサイズは、好況期に発注された新造船の竣工が一巡したものの、海外船主の投機発注などに より造船所の受注残が多い。他方、これまで鉄鋼原料の海上荷動き増加を牽引してきた中国で粗鋼生産量が 減少に転じ、鉄鋼原料の輸入量の伸びも鈍化した。パナマックス以下の中小型船も、船価の低いタイミング を狙った新造船の発注などによって船腹供給圧力が強く、運賃市況はケープサイズ同様、低位で推移した。 タンカーは、コンテナ船やドライバルク船と異なり、市況が堅調に推移している。新造船の竣工がピーク アウトしたことに加え、原油価格下落による消費量増加や洋上貯蔵の拡大によって船腹需給がタイト化して いる。しかし、今後も長期に亘って好調な市況が続くことは考えにくい。新造船の受注残が増加しており、 中期的に船腹供給圧力が強まる可能性が高い。また、原油価格の動向によっては洋上貯蔵が減り、運航され る船腹の供給量増加につながることも想定される。

2. 決算動向

海運大手各社の経常利益合計額は、10/ 3 期から 13/ 3 期まで毎年赤字と黒字を繰り返していたが、13/ 3 期 から 15/ 3 期まで 3 期連続で改善し、回復基調にあった。しかし、16/ 3 期は 996 億円(前期比 45. 9%減)と 4 期ぶりに悪化した。円安や燃料油価格低下が引き続き収益への追い風となったが、コンテナ船やドライバ ルク船の市況低下によるマイナスが大きく、3 社ともに減益となった。また、海運市況低下を受けて各社は ドライバルク船を中心に構造改革を実施し、商船三井、川崎汽船の 2社で親会社株主に帰属する当期純利益 が赤字に転落した。

(2)

2/ 3 http://www.jcr.co.jp

財務面では、資産売却や投資の抑制などによってキャッシュフローが改善し、16/ 3 期は 3 社とも有利子 負債が減少した。しかし、親会社株主に帰属する当期純利益の合計額が大幅な赤字になったことに加え、株 式相場下落や期末にかけて円高が進んだことに伴うその他の包括利益累計額の低下により自己資本が減少し た。この結果、16/ 3 期末の海運大手各社の自己資本および有利子負債合計額によるデット・エクイティ・レシ オは 1. 4 倍と 3 期ぶりに悪化した(図表 2)。

17/ 3 期も財務構成の改善は進みにくいと見られる。業績悪化に伴うキャッシュフロー創出力の低下によ り、有利子負債の削減が鈍化する可能性がある。また、海運市況の低迷が続けばドライバルク船などでさら なる構造改革費用の計上が必要となり、自己資本の拡充が遅れることも考えられる。

3. 決算に

格付上の

注目点

14/ 3 期、15/ 3 期は、コスト削減および円安、燃料油価格低下によるプラス効果が海運市況低下によるマ イナスを上回り、業績は堅調に推移した。しかし 16/ 3 期は、これらのプラス効果以上に海運市況低下によ るマイナスが大きく、業績が悪化した。17/ 3 期は、足元で為替がやや円高方向に振れており、燃料油価格低 下による効果も縮小すると見られることから、直近 3期に比べて業績への追い風は弱まると考えられる。従 って、16/ 3 期の業績悪化の主因となったコンテナ船およびドライバルク船の収益動向が今後の注目点となる。

コンテナ船の収益は厳しい状況が続いている。16/ 3 期までの直近10 年間で 3 社ともに経常黒字となった 年は 2 回しかない。16/ 3 期は3 社ともに経常赤字となり、17/ 3 期も日本郵船、商船三井の2 社で経常赤字 が見込まれている。各社は航路の合理化や様々なコスト改善策に取り組んでいるが、運賃市況低下による影 響が大きく、安定して黒字を計上するまでには至っていない。

ドライバルク船は、運賃市況が損益分岐点を下回る水準にとどまっており、フリー船や市況連動型運賃契 約の赤字が中長期契約による収益を上回っていると見られる。このため、各社は損益分岐点を引き下げるた めに高コストの用船解約や保有船の減損などによる構造改革を実施しており、今後の利益面でプラスに寄与 する見込みである。他方、運賃市況の低迷が続けばさらなる構造改革の実施を余儀なくされ、特別損失の計 上によって親会社株主に帰属する当期純利益が低位にとどまる可能性がある。

財務面では、16/ 3 期に 3 社とも自己資本および有利子負債が減少した。自己資本については、円高、株 価下落によるその他の包括利益累計額の減少が影響した。また、親会社株主に帰属する当期純利益が赤字と なった商船三井、川崎汽船の 2社が自己資本を大きく毀損したのに対し、同利益の黒字を維持した日本郵船 では自己資本の減少が相対的に小幅にとどまった。3 社とも構造改革に伴い多額の特別損失を計上したが、 日本郵船は資産売却による特別利益を計上して赤字を回避したためである。今後も収益面で厳しい状況が予 想されるが、そうした中で財務構成を維持、改善することができるか注目していく。

(担当)水川 雅義・小野 正志

(図表 1)海運大手 3 社の業績推移 (単位:億円、%)

売上高 前期比 営業利益 前期比 経常利益 前期比

売上高経常 利益率

親会社株主 に帰属する 当期純利益

前期比

日本郵船 15/ 3 期 24, 018 +7. 4 661 +47. 1 840 +43. 8 3. 5 475 +44. 0

(9101) 16/ 3 期 22, 723 ▲5. 4 489 ▲26. 0 600 ▲28. 5 2. 6 182 ▲61. 7

17/ 3 期予 21, 800 ▲4. 1 275 ▲43. 8 350 ▲41. 7 1. 6 150 ▲17. 8

商船三井 15/ 3 期 18, 170 +5. 1 172 ▲58. 0 513 ▲6. 6 2. 8 423 ▲26. 2

(9104) 16/ 3 期 17, 122 ▲5. 8 23 ▲86. 5 362 ▲29. 3 2. 1 ▲1, 704 -

17/ 3 期予 15, 160 ▲11. 5 30 +29. 1 200 ▲44. 9 1. 3 200 -

川崎汽船 15/ 3 期 13, 524 +10. 5 479 +66. 3 489 +50. 9 3. 6 268 +61. 1

(9107) 16/ 3 期 12, 439 ▲8. 0 94 ▲80. 4 33 ▲93. 2 0. 3 ▲514 -

17/ 3 期予 11, 000 ▲11. 6 170 +80. 3 150 +349. 3 1. 4 ▲350 -

3 社合計

15/ 3 期 55, 713 +7. 3 1, 314 +14. 3 1, 843 +26. 4 3. 3 1, 167 +9. 0

16/ 3 期 52, 284 ▲6. 2 607 ▲53. 8 996 ▲45. 9 1. 9 ▲2, 037 -

17/ 3 期予 47, 960 ▲8. 3 475 ▲21. 7 700 ▲29. 8 1. 5 0 -

(3)

3/ 3 http://www.jcr.co.jp

(図表 2)海運大手 3 社の財務推移 (単位:億円、倍)

自己資本 有利子負債 D/ E レシオ EBI TDA

有利子負債 / EBI TDA

営業キャッ シュフロー

投資キャッ シュフロー

日本郵船 14/ 3 期 7, 202 12, 264 1. 7 1, 577 7. 8 1, 365 64

(9101) 15/ 3 期 8, 103 10, 838 1. 3 1, 755 6. 2 1, 364 267

16/ 3 期 7, 736 9, 278 1. 2 1, 613 5. 8 1, 428 ▲468

商船三井 14/ 3 期 6, 791 10, 707 1. 6 1, 344 8. 0 942 ▲1, 198

(9104) 15/ 3 期 7, 825 11, 584 1. 5 1, 146 10. 1 924 ▲1, 591 16/ 3 期 5, 409 10, 219 1. 9 1, 053 9. 7 2, 091 ▲266

川崎汽船 14/ 3 期 4, 038 5, 797 1. 4 846 6. 9 882 ▲51

(9107) 15/ 3 期 4, 565 4, 772 1. 1 1, 052 4. 5 1, 018 ▲111

16/ 3 期 3, 703 4, 662 1. 3 622 7. 5 396 ▲295

3 社合計

14/ 3 期 18, 032 28, 769 1. 6 3, 767 7. 6 3, 190 ▲1, 185 15/ 3 期 20, 494 27, 195 1. 3 3, 954 6. 9 3, 307 ▲1, 435 16/ 3 期 16, 850 24, 159 1. 4 3, 288 7. 3 3, 915 ▲1, 029

(出所:各社決算資料より J C R 作成)

※ 川崎汽船はハイブリッド商品の資本性評価後

【参考】

発行体:日本郵船株式会社

長期発行体格付:A + 見通し:安定的

発行体:株式会社商船三井 長期発行体格付:#A - / ネガティブ 発行体:川崎汽船株式会社

長期発行体格付:BBB+ 見通し:安定的

■留意事項

本文書に記載された情報は、J C Rが、発行体および正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、また

はその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、J C Rは、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、

的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、J C Rは、当該情報の誤り、遺漏、また

は当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。J C R は、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、

金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因

のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。また、J C Rの格付は意見の表明であ

って、事実の表明ではなく、信用リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするも

のでもありません。J C Rの格付は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。格付は原則として

発行体より手数料をいただいて行っております。J C Rの格付データを含め、本文書に係る一切の権利は、J C Rが保有しています。J C Rの格付データ

を含め、本文書の一部または全部を問わず、J C R に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。

■NR S R O 登録状況

J C R は、米国証券取引委員会の定める NRSRO(Nationally Recognized Statistical Rating O rganization)の 5 つの信用格付クラスのうち、以下の 4 クラ スに登録しています。(1)金融機関、ブローカー・ディーラー、(2)保険会社、(3)一般事業法人、(4)政府・地方自治体。

■本件に関するお問い合わせ先

参照

関連したドキュメント

添付資料 4.1.1 使用済燃料貯蔵プールの水位低下と遮へい水位に関する評価について 添付資料 4.1.2 「水遮へい厚に対する貯蔵中の使用済燃料からの線量率」の算出について

その問いとは逆に、価格が 30%値下がりした場合、消費量を増やすと回答した人(図

本稿筆頭著者の市川が前年度に引き続き JATIS2014-15の担当教員となったのは、前年度日本

建屋カバー改造 本格コンテナ 上部コンテナ 上部コンテナ改造 燃取カバー ※ 3 本格コンテナ1.

年間寄付額は 1844 万円になった(前期 1231 万円) 。今期は災害等の臨時の寄付が多かった。本体への寄付よりとち コミへの寄付が 360

V1:上げ調整を行なった場合の増分価格(円/kWh) を設定 V2:下げ調整を行なった場合の減分価格(円/kWh) を設定 ロ

地球温暖化防止のためにも必要不可欠なものであり、引き続き安全・安定運転を大前提に

 この決定については、この決定があったことを知った日の